DDM-2001
ダスト濃度計は企業のコンプライアンス(法令遵守)の確立、CSR(企業の社会的責任)にとって必要な環境監視機器です。
現行の法規制では、煙突からの媒塵(煤塵)濃度測定は全て手分析によるもので、残念ながらある時点でのバッチデータでしかありません。万が一煙突から煙(煤塵)を多量に排出してしまえば、周辺の住民は先ず役所に通報するでしょう。その結果、役所の環境課から当該事業所に対して状況説明を求めてくることになります。この時に連続データ(Evidenceとして)が無ければ説明責任を果たすことはできません。すなわち、企業は媒塵を排出している社会的責任(CSR)を全うする上でも連続式ダスト濃度計が必要となるのです。異常時の前後データがあればその時の発塵状況が判り、早急な対処が可能となります。こうした経験の積み重ねと日常の運転管理によって、初めて環境規制値を遵守すること(コンプライアンス)が確立されると考えられます。また、データの指示傾向をモニターすることで、電気集塵機やバグフィルターの運転状況が把握でき、環境へ媒塵が多量に放出される前に集塵機などの適正なメンテナンスを行うことが可能となり、予防保全にもつながるのです。
(株)田中電気研究所製ダスト濃度計DDM-2001とは
ダスト濃度計とは、煙突から排出されるガス中の煤塵(粒子状物質)を連続的に測定し、大気汚染防止法で規制されている排出基準(mg/m³ 標準状態:0°C 1気圧)を守る為に電気集塵機、バグフィルターの管理を行う目的に使用される相対濃度計です。(株)田中電気研究所製ダスト濃度計は光散乱方式を採用し、過酷な環境(※)でのメンテナンスフリーを実現するために開発された独特な構造の検出器を備えた、とてもシンプルかつハイレベルな測定器です。当社のダスト濃度計はJISZ8852:2013(排ガス中のダスト濃度の連続測定方法)に適合した性能を持っています。また、経済産業省が平成26年に定めた「新市場創造型標準化制度」を活用し、当社が提案企業として作成した「排ガス中のダスト濃度自動計測器の性能評価方法JISB7996」での実証試験では、手分析との相関係数は0.994の実績があります。
※オプション仕様:水分の多い排ガス、高温(820°C)、高圧(246kPa)下での測定・校正が可能
測定データ:傾向管理の例
(左)バグフィルター出口煙道にダスト濃度計を設置したところ、目では判らなかったが指示が大きく振れていました。現場を確認すると譲布の目詰まり及びシェーキングダンパの不具合が発見されました。
(右)濾布の目詰まり、シェーキングダンパの修理を行なったところ、指示の振れは収まった。(ダスト濃度計の感度は前のままの状態)上記グラフは縦軸を0~10%に拡大して見ています。
非常に簡単な設置工事
200×65mmの穴を1箇所あけて検出器を取り付けるだけなので、設置はとても簡単です。パージエアーは現場にある雑エアー源で大丈夫な様に、エアーの汚れを取り、検出器の結露防止を行うパージエアー温度制御盤を備えています。
光散乱方式
投光した光がダストに当たり散乱した微小な光を電気信号に変えてダスト濃度を知ることができます。
利点:低濃度でのダスト濃度測定が可能で、手分析との相関係数が高い測定方式です。
当社のダスト濃度計は煙道または煙突に直接光を照射し、煤塵による散乱光を受光し、電気信号に変えて測定する「非吸引採取式(ノンサンプリング式)」を採用しています。スパン校正値を記録できる校正器を用意しているので、運転中でも計測器単体の電子回路のスパン校正が可能です。
【測定範囲】煙道壁から1m程度の投光と受光の交叉した3次元的ボリウムの有る空間(※図の紫色の部分)
光学式の為、帯電した粒子、水分、流速の影響を受けずに連続測定ができます。
検出窓のエアーパージには独特の構造を有し、ほぼメンテナンスフリーを実現しています。
※光散乱方式はダストの粒径、色に影響を受けますが、集塵機出口では一定になるので問題はありません。
DDM-2001本体コントロールボックス
(株)田中電気研究所製ダスト濃度計「DDM-2001」は本体にあるハロゲンランプ光源をチョッパーモーターにより一定周期の光にした後、投光ファイバーを通して検出器に導かれ、煙道内に照射されます。煤塵によって散乱した光は、90度後方から見ている受光ファイバーを通って本体内の受光ユニットに導かれ、光→電気変換の後にCPU内蔵の信号処理回路基板で同期検波され、外部出力信号(4~20mA、RS-232C)となります。同時に警報接点も出力されます。
健全性確保(ゼロ・スパン調整をプラント稼働中に出来ます)
プラントが稼動して排ガスが流れていても、ダスト濃度計の検出器から投光受光光ファイバーを安全に外すことができます。そして付属の校正器に接続することで機器のスパン調整を行なうことができます。
当社のダスト濃度計は、測定ガス圧力246kPa、COガス濃度20%そして高温の場合では820°Cと言う過酷な条件の下でも安全に健全性確保が可能です。
※ 高圧型検出器、水冷冷却器はオプション
付属の校正器には透過率1%の減光フィルター及び絞り板が組み込まれています。想定される煤塵濃度にダスト濃度計の電気的感度を合わせるスパン調整を行なったあと、当社技術員により校正器内部の絞り板を調整します。このことで機器健全性確保の為の校正値を決めることができます。
ゼロ点調整はモータースイッチをOFFにした状態で出力が0%になるようにゼロ調整ダイアルで調整を行ないます。尚、自動校正モードでオートゼロ調整を周期的に行うことも可能です。スパン調整はモータースイッチをONにし、光ファイバーを校正器に接続した状態で校正値出力になるようにスパン調整ダイアルで調整を行ないます。
ダスト濃度計導入施設事例
電力会社、IPP発電所 | 石炭火力発電所、重油火力発電所、EP及び脱硫装置出口 |
製鉄所 | 高炉炉圧発電、コークス炉バグフィルター出口、焼結工場、自家発電所EP出口 |
電気炉製鉄所 | 直引き集塵、ガス製造設備バグフィルター出口 |
精錬所 | バグフィルター出口 |
アルミ溶解炉 | バグフィルター出口 |
製紙工場 | 一般ボイラーEP出口、汚泥焼却設備、バイオマスボイラーバグフィルター出口 |
セメント工場 | 原料、クーラー、AQC、ディーゼル発電設備EP出口、ミルバグフィルター出口 |
産業廃棄物処理炉 | 一般、高温バグフィルター出口 |
ダスト濃度計全体構成図
機器外形図
仕様(DDM-2001)
● コントロールボックス | |
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構造 | 壁掛け屋外設置型(IP54相当) |
測定原理 | 90度後方散乱方式 光源ハロゲン光 |
測定範囲 | 0~1000mg/m³(標準状態:0℃、1気圧)以内の相当出カ(レンジは可変) |
排ガス温度 | ~380℃(特殊品は~820°C) 排ガス圧力(特殊品は~246kPa) |
外部出力 | DC4~20mA 絶縁出力(負荷抵抗750Ω以下) RS-232C I/F出力(ポートを用意) |
警報/故障出力 | 高警報、供給電源切れ警報、モーター、ランプ警報、内部電源電圧異常警報、自動ゼロ調整異常警報(ドライa接点出力:接点容量:AC/DC200V、0.1A) |
出力校正 | ゼロ点調整・・・自動/手動の切替選択 自動選択時の実行周期:7日または30日の切替選択 スパン調整・・・校正器を接続し手動でスパン調整 |
積分時間可変範囲 | 約5~100秒 |
温度安定度 | ±2%/10°C長時間安定度 ±2%/1ヶ月 |
供給電源 | AC100V±10%(50Hz、60Hz)、 400VA |
周囲温度 | -10~50°C |
外形寸法 | 500×670×270mm |
重量 | 約45kg |
塗装色(標準) | マンセル5Y7/1 G=40
外面及び内面:耐塩ポリウレタン塗装 |
● パージエアー温度制御盤 | |
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寸法 | 530×500×220mm 重量約26kg |
塗装色 | マンセル5Y7/1G=40(標準色) |
供給エアー | 工場雑エアー使用可能 必要流量:120 l/min程度 |
供給電源 | AC100VまたはAC200V 容量1kVA |
● 検出器 | |
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寸法 | 260×125mm 重量 約5kg |
材質 | SUS304 測定部 PTFEフッ素コーティング |
パージエアーの接続 | PT1/4の雌ネジ(チーズユニオン) |
● 光ファイバーセット | |
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寸法 | バンドル径8φ×2m、3m、4m、5m(長さ選択、ただし特注で16mまで製作可) |
構造 | PVC被覆付ステンレス製インターロックガード付き |